ビロードの背中
「そうだけど・・・。あなた、誰?」


私は自分の名前を名乗った。そして、こう付け加えた。


「彼は私を“姉さん”と呼ぶわ。」


彼女は私を少し疑うような目で見て、口元だけ笑った。


「じゃ、2人ともアイツにとっては友達なんだ。

アイツ、いないよ。


・・・ところでお姉さん、お金持ってる人?」


“このセリフ、聞いた事がある。”


「そこそこかな。」

「私、お腹すいてるの。お昼、おごってくれない?」

“何か面白いかも。”

「――いいわ。」

私も、先のナツホと同じ表情をして笑い返す――。



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