ビロードの背中
私たちは、かつて彼と行ったファミレスに入った。


“――懐かしい。”

最近ではファミレスにも入らなくなってしまった。



ナツホは迷わず喫煙席を選ぶ。

「ごめん。早速タバコ吸わせてね。」

ナツホがタバコに火をつける。


「―― でも多くないの。一日半箱くらいかな。」

彼と同じセリフ。

“そっくりだ、彼とナツホ。”



料理を注文する。

彼女は遠慮しない。

サラダ・メイン・デザートまでしっかり注文した。


敬語も使わない。

でもこれが彼女らしくて、なぜか好感が持てた。


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