ビロードの背中
「もう、明らかな傷。

アイツ、赤ちゃんみたいな肌できれいな背中なんだ・・・。

そんな背中に思いっきり傷つける女って、どんな人なのかな。

うらやましくて腹が立つよ。

よっぽど、よかったのかなぁ・・・。」



意味深なヒント、本当は正解をナツホに。


「“痛かった。”・・・ とか?」


「あー、そっちか!

・・・ヴァージンて事?!

それは気が付かなかった~。

・・・そっか。」



ナツホはこんな話をしながらもすっかり食事を終え、

飲み干したジュースの氷を、バリバリ音を立てて噛んでいる。


「ねえ、本当はあの傷、お姉さんがつけたとか――。」


私は再び嘘をつき否定する。



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