ビロードの背中
「褒めてるんだけど。

でも正直結婚までとは・・・。

もうちょっとで、その人と《ロスト・・・》だったかもしれなかったね。」



「――それは違う。

あなたとの事があったから、前向きに進めた。

ただ、こうなった事、どう言っていいか分からなくて・・・。

メールも送れなくて・・・。

本当に、あの日のことも謝りたかったの。」



「何も謝る事ないでしょ。

無理に相手したわけじゃないし。

・・・俺も望んだことだから。」



私はほんの少し安心したのか、彼の言葉に涙があふれ、

ハンカチで慌てて押さえた。

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