ビロードの背中
「会ってないよ。もう、来ないと思うけど。」


「どうして?」


「・・・意地悪して、泣かせたから。」


「――どういう事?」


「・・姉さんと、朝 別れたでしょ。

・・・その日来ることになってたの。

始めから意地悪して、泣かせるつもりだった。」




“相変わらず、ナツホにはサディスティックなんだ。

エッチは優しいくせに・・・。聞いちゃったんだから――。”



「もしかして背中の・・・、かな?」


知っていながら、聞く。


「そこまで言わせないでよ。

その話は、もう終わり。


――姉さん、俺、もう一杯飲んでもいい?」



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