ビロードの背中
「・・・え?」

「・・・だいすき。」


“『大好き』って言った――?”



口唇を軽く重ねながら、小さく “だいすき” と繰り返していた。




・・・やがて口唇を離し、私を抱きしめると、


「――大好き。」


と小さく言って、玄関を出て行った。





私は壁に寄りかかりながら、その場に座り込んだ――。

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