ビロードの背中
――ドアが開いた。

彼は私の顔を見て、深く息を吐いた。


「・・心配していたんだよ。」


彼の、初めて聞く強い口調には心配と安堵が重なっていた。


――心配?

・・・私を心配するの?

私を、心配してくれてたの?


「・・・心配?」

「当たり前でしょ。

・・・あんな帰り方したし、泣いてたし。

メールの返信は来ないし・・・。」


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