ビロードの背中
私たちはいつものファミレスに行った。

オーダー以外は二人とも黙ったまま。


――私は沈黙に勝てない。


「・・・メール、返信しなくてごめんね。」

・・・なぜ私が謝るのか。


これは、返信しなかった事についてのみの謝罪。

彼は私と目を合わさずに、下を向いたまま言った。


「俺も、軽率でした。ごめんなさい。」

「・・・いつも、ああなの。」


彼は、私の機嫌を損ねないよう慎重に話し始めた。

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