ビロードの背中
――私の話の結末は、

『羨ましい彼女は”悪女”』。

そして私は、

『34歳まで身持ちが堅すぎて、どうしようもない自分』

を正当化して頑張った。

・・・いつもは聞き上手な彼が、私の話を静かに遮る。


「――姉さん。それは、価値観の相違じゃないかな。

・・・だって、彼女の事、何も知らないでしょ。」


”何で彼女をかばうの?

・・というか、

そもそも仲直りしようと思って来たのに、何で他の女の話になるの?!”


「――帰りましょう。

友達、待ってるんでしょ。」


私は席を立ち、伝票を持った。

彼を残し、振り返らずに歩き始めた。

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