ビロードの背中
私はおかずとおにぎりを作って、アパートに向かった。



ドアチャイムを押すと、声が聞こえた。


「・・・はい。 開いてるから。」

「・・・こんばんは。」

「あ、どうしたの?

・・・今仕事中で。」


彼は画用紙から目を離さず、描きながら答える。


私は静かに近づき彼の手元を見た。


「・・・素敵な絵。」


色えんぴつの美しい絵に見とれてしまった。


「――ごめん。

10日で6枚描きあげなきゃいけないんだ。

・・・用無いなら帰ってくれる?」


「ご飯作ったの・・・。ここ置いとくから。」

「――はい。」

・・・やはり、嫌われてしまったらしい。

「―― これ、あげる。」

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