ビロードの背中
「――どうしたの?私を誘うなんて。
・・・若い女性に断られた?」
「・・姉さんしか声掛けてないよ。」
彼は仕事がうまくいったのか、お酒が進んで、本当に上機嫌だった。
私は温泉のチケットを差し出した。
「会社でもらったの。
・・誰かと行ってきて下さい。」
「・・でもこれ、姉さんの成績がとったものでしょ。」
「私の友達は、もうみんな結婚してて誘えないの。
ランチやディナーには付き合ってくれるけど、泊まりは無理。」