ビロードの背中
そこで彼が口をつぐんだ。

「・・・もう、話したくない。」

「・・どうしたの?

彼女、可愛いじゃない。」


彼はグラスの酒を一息で飲んだ。

話したくないと言いながら、話したい気持ちがうかがえる。

私も、「聞きたい」と「聞きたくない」気持ちが交差する。

ここで大人になる。

彼に心を吐き出させてあげよう――。



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