ビロードの背中
大きなテーブルに乗り切れないのでは、と心配するような数の

豪華な料理が次々と並べられた。


ふすまが閉められ、隣の部屋では別の仲居が布団を敷いていた。



彼女からのメールがこのタイミングで来たのは、彼のせいではない。

せっかくの旅行、楽しく過ごしたい。


「――すごい。

超豪華料理ね!

私絶対、全部おなかに入れるよ。

さっ、食べよ。いただきます。」


「本当、一生分の贅沢を使った料理だな。」


「器も美しいわ・・。なんか幸せ。」



食事が満足の味だった事もあり、

旅行本来の空気が少しずつ戻ってきた。



「姉さん。、ご飯食べ終わったら、少し館内の散歩しようか。」

「えっ、私、お化粧してないし。」

「大丈夫。 姉さん、美しいっすから。」

「いーだ。」

私達は、館内を歩いてみることにした。

< 87 / 201 >

この作品をシェア

pagetop