ビロードの背中
部屋に戻った。
時計を見ると21:10だった。
「売店の金額、いくらだった?私、出すよ。」
「もう、姉さん。恥かかせないでよ。
これくらいの金はあるよ。」
これは男の見栄というものだろうか。
思い出してみれば、今までも私達はずっと割り勘定で、
彼に食事代を支払ってもらったことはあっても、
私のほうが多く払ったことはほとんど無い。
彼は駆け出しの絵本画家。私は企業の係長。
彼の収入に比べたら、私は大金持ちなのに。
しかしここは、若さゆえの見栄に乗らせてもらうことにした。
「ありがとう。ごちそうになります。」
ビール、コップ、おつまみなどを用意すると、
テーブルを前に、私は彼の左側に並んで座った。
彼の顔がグッと近づく。
口元とアゴに薄っすらとひげが伸びてきている・・・。
「はい、旅行にカンパイ!」
とコップを鳴らしたものの、最初のおつまみはアイスクリーム――。
時計を見ると21:10だった。
「売店の金額、いくらだった?私、出すよ。」
「もう、姉さん。恥かかせないでよ。
これくらいの金はあるよ。」
これは男の見栄というものだろうか。
思い出してみれば、今までも私達はずっと割り勘定で、
彼に食事代を支払ってもらったことはあっても、
私のほうが多く払ったことはほとんど無い。
彼は駆け出しの絵本画家。私は企業の係長。
彼の収入に比べたら、私は大金持ちなのに。
しかしここは、若さゆえの見栄に乗らせてもらうことにした。
「ありがとう。ごちそうになります。」
ビール、コップ、おつまみなどを用意すると、
テーブルを前に、私は彼の左側に並んで座った。
彼の顔がグッと近づく。
口元とアゴに薄っすらとひげが伸びてきている・・・。
「はい、旅行にカンパイ!」
とコップを鳴らしたものの、最初のおつまみはアイスクリーム――。