ビロードの背中
彼は私をちらっと見ると、目線をそらしてコップのビールを一気にあけた。

再び私を見て話そうとするが、照れ笑いで話せない。

「えっ、そんなにすごい話でもないじゃない。」


照れ笑いとは裏腹に、彼は静かに話し始める・・。



「・・・俺、カッコイイって思う女が好きなの。

姉さんを初めて見た時、まず、目の力が強いのが印象的。

それでいてすごく冷たそうで。

気高い美人て感じ。

レンタルの店内もスーツで、ヒール、カツカツ言わせてさ。

それを見て、一目で気に入ってしまいました。」


「・・・で、メールは?」


「・・・姉さんに挑戦してみたくなりました。

男として、『高嶺の花』に手を出したくなったの。

だから、返信が来た時は大喜びしました。


あ~もう、勘弁してよ。」

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