ビロードの背中
でもまだ、本題が残っている。

こちらを聞かなければ、今日の意味が無い。

「・・・質問3。女優ナツホの好きなところは?」

「・・・姉さん、それ聞いてどうするの。

・・・答える必要ないでしょ。」

彼は黙ってしまった。

・・・私も黙ってしまった。


「・・・姉さん、

せっかく二人で来てるんだから、他の奴の話、すること無いでしょ。」


「・・・前回、彼女の話し聞いた時、正直聞かなきゃ良かったと思った。

悔しいけど、魅力的に思えて。私には無いものでいっぱい。

とにかく全然聞きたくないの。でも聞きたくて仕方がないの。

・・・これって何なんだろ。・・私の為に話してほしいの。」




しばらく黙っていた彼が、根負けしたように話し出した。

「・・・俺は、聞かれたから話すんだからね。」

彼は私に、念を押すように確認する。

「・・・自信つけてもらったかな――。
 
俺、絵を売り込むのすごくヘタで。

なかなか仕事もらえなくて・・・。

< 97 / 201 >

この作品をシェア

pagetop