ビロードの背中
――出版社に絵を届ける時、

『絵の仕事って全然分からないんだけど、

私なら、仕事以外の絵を3枚位描いて渡してくるな。

例えば、他の劇団の公演観て魅せられたら

自分の演じた舞台のチラシとか持って名前だけでも売り込んでくる。

もちろん、所属劇団の仕事がメインだけど、

それがきっかけでその劇団に客演で出してもらえるかもしれないし。

持ってった絵に厳しい事言われたり、

もしかしたら捨てられちゃうかもしれないけど、

やらないよりは数倍マシじゃないかな。』

・・って。

・・・スーツとかもそう。

絵を届ける時、ジーパンとかで行っちゃってたんだけど、

『まずは外見から。話を聞いてもらう姿勢をね。』

・・・って。


だめもとでスーツ着て、絵も、パターンの違うの3枚持っていったら、

けっこう好感触で。

それからしばらくたってからだけど、単発も含めて、

絵の仕事が入るようになって来た。」

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