12月の春、白い桜が降る。
古谷先輩は次の日からまたいつも通り話しかけてくれて、私も気兼ねなく話すことが出来た。

本当に優しくていい先輩だなとつくづく思う。

常連客の何人かには、古谷先輩に会いに来るのが目的で来ている人もいる。

むしろ、この間バイト帰りにそのうちの一人の、私と同い年ぐらいの女の子から告白されたのを偶然見つけたぐらいである。

私からしたら、その子も綺麗な髪とぱっちりした目がとても印象的で、誰が見ても可愛いの一言で表せるような子だった。

でも先輩は、あっさり振っていた。

それが私のことが好きだったからなんてちっとも知らなかった。

私なんかのどこを好きになったんだろう…。

古谷先輩も、私なんか好きにならなければ傷つけずに済んだのに。

私は古谷先輩に辛い思いはして欲しくないのだ。

優しい古谷先輩だからこそ、そう思う。

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