12月の春、白い桜が降る。
私はようになんて言えばいいかわからず、
あっという間に、時だけが、私を置いて過ぎていった。

高一の夏も、秋も冬も。

私はずっとように隠し続けた。

寧ろ、ずっとこのまま秘密にしていようかと思った。

私はもう長く生きられないことは決まっているし、ようだって他の人と恋をするべきだ。

でも私はようと別れることなんてしたくない。

絶対に。

別れを告げようとした時は何度もあった。

けど結局、いい人になんかなれなかった。

そんな自分がますます嫌いになって、手を出したのはカッターだった。

生まれて初めて自分の腕を傷つけた。

こんな状況でも痛くて、その痛みに耐えられなくて、カッターをにぎりしめたまま情けなくなって泣きじゃくった。

…もしも病気のことを伝えたら、ようが離れて言ってしまいそうで、怖かった。
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