12月の春、白い桜が降る。
ようは笑って、「またドッキリ?」と言った。

あの時と同じ。私が告白したときと。

そう思うのは当然だ。

私がもし、ようからこんなこと言われたって同じような反応をするだろう。

わかっていたのに、やっぱりそれを聞いた途端に、言うのが怖くなった。

私は告白はドッキリじゃなかったでしょ、と笑った。

言ったあとで、後悔した。

この日ほど自分が最低だと痛感した日はないだろう。

繋いだままの右手を引っ張るようにして、「帰ろ」と足を進めようとした。

しかし、ようは進もうとしなかった。

その時のようの顔は忘れられない。


「本当なんだね。」

ようは、私をじっと見つめていた。

その瞳は、なにを思っていたのか、私にはわからない。
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