12月の春、白い桜が降る。
「僕は、ひなたが好きだ」

桜の木から、桜の花びらが風でようの周りを舞っていた。

その光景が、どうしようもなく綺麗だった。


私は泣いた。泣きながら、「私も」と返した。

そういえば、付き合ってからもこうしてちゃんと好きだって言われたことは無かった。

十六歳の春は、初めてようから好きだと言われた春となった。
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