12月の春、白い桜が降る。
今日は昨日の今日で、約束通り、一つでも思い出を増やそうと水族館へ行くつもりだった。

待ち合わせの九時から一時間経ってもようは来なくて、メッセージの返事も帰ってこないし、
何かあったのだろうか、と心配になっていた矢先、彼の携帯から電話が掛かってきた。

私が喋るより先に、電話の向こうで、大人の女の人の声がした。

ようの、お母さんだった。

ようのお母さんは私に、ようが事故にあった、と話した。
< 79 / 210 >

この作品をシェア

pagetop