12月の春、白い桜が降る。
今日朝早く向かった理由は、夏休みにバイトを無くしてもらう代わりに、

朝八時から夜六時まで働く、と事前に私から申し出ていた。

店長さんはやっぱり優しいから、

「いいよ、そんなのわざわざ」と両手をすごい勢いで横にふり続けていたが、
私がやりたいんです、と無理矢理今日一日中入れてもらった。

日曜だったせいか、今日はいつもより混んでいて、休む暇もあまりなかった。

帰る時にはくたくたで、家に帰ってすぐベッドに倒れ込むようにして眠った。

そういえば、三日後にようの学校では修学旅行があると言っていた。

ようはおそらく行けないだろう。

高校生の醍醐味イベントなのにな。

そうだ、ようの怪我が治ったら、行けなかったようの修学旅行に二人で行こう。

携帯を見ても、メッセージは一件も入っていない。

ようが目を覚ましたら、ようのお母さんからメールを送ってもらうように話していたが、

まだ目を覚ましていないのだろうか。

早く目を覚ましてほしい、と思う一心だった。
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