やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

岡先輩が家のベッドで寝ている。
課長と付き合う前だったら。彼に会う前ににこんなことが起こってたら。
一生に1度の幸運だと思っただろうな。

素敵な寝顔。
それなのに。先輩の存在は今の私にとって厄介だ。
町田課長がこの状況を知ったら、どう思うだろうか。
そのことが頭を離れない。

課長のこと考えてたら、いきなり家の電話が鳴りだした。

だれ?こんな時間に。
「もしもし」
「今、どこだ?」町田課長からだった。
な、何で課長が電話をかけて来たの?

「どこって、家よ」
「……都のか?」
「ええ」ため息とも、何とも言えない声が彼の口から洩れて来る。
「そうか。都、お前今、一人でそこにいるのか?」
どうしよう。正直に言った方がいいのかな。

それとも、先輩がベッドで寝てるって言った方がいいのかな。
だめ。そんなこと言えない。
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