やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
「かわいいよ。食べてしまいたい。
もう一度、昨日みたいにしてごらん」
普段、厳しい事しか言わない課長の口から思いもしない、甘い言葉がささやかれる。
彼の厚い胸を押して、はねのけなければいけないのに。
熱いお湯に当てられて、ぼんやりしてたのか、拒否できなかった。
「都……」
私が拒否しないと確信すると、彼は、私をしっかりと捕まえ、抱きしめた。
熱い眼差し。
「そんなふうに見ないでください」
「無理だ」
キスの後、課長は一気に攻め立てて来た。私は、彼の熱い抱擁を受け入れた。
私たちは、バスルームで熱く抱き合った。

「抱いてください……昨日そういっただろう?
俺のこと好きだって、もう一度言ってごらん」

私は、返事をキスで誤魔化した。
何てこと言ったの。
別の人に。
しかも、毎日顔を合わせる上司に、私、とんでもないこと言ったんだ。


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