やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

私は、用意していた真っ赤なエプロンを課長に渡した。
「一応な」課長はこっちを振り返って微笑むと、上からエプロンをかけた。
冷蔵庫の食材をいくつか選び、材料を手にとってままで言う。

「ハムエッグとサラダでいいか?」
「はい、もちろんです」
「卵は、スクランブル?目玉焼き?」
「スクランブルで。ホテルみたいなふわっとしたのがいいな」
「了解」
くすっと笑った笑顔が悩ましい。
この人、本当に何でもできるんだ。課長は、手際よく卵を割って調味料を加えた。
「牛乳使っていいか?」冷蔵庫を開けながら言う。
「飲むんですか?」
「なに言ってる」
ほら、また、笑った。
今度は、白い歯が見える。

近寄って、すぐにキスしたくなる衝動を抑えた。
「見てないで、コーヒーくらい入れられるだろう?」
「はい、ごめんなさい」

課長はフライパンを火にかけ、慣れた手つきで卵をまとめていく。
「すごい。料理上手」
私は、課長のエプロン姿をじっと見ていた。
細身だと思ってたけど、肩幅は割とある。
その肩から腰のあたりのラインが素晴らしい。
特に、お尻の辺りがきゅっとしまっていて、後ろから見ると文句のつけようがない。
上半身も、首のラインから腕まですっきりしている。
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