やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
「あの……」悪いけど。正気なの?
本気じゃないですよね?
お願い。誰か冗談だと言って。
「冗談で、こんなこと言ってると思うか?」
私は、目を丸くした。
何で考えてたことがわかったの?
「いいえ、冗談何かで済まされるとは思ってないですけど」
だから、困ってるんじゃないの。
「結婚なんて……悪いけど、先のことです。今は、その。まったく考えてないの」
申し訳なさそうに言う。
「そうか。それなら、今から考えろ」
ええっ?
「考えてないしゃなくて、
考えないって、言ってるじゃないですか!」
「いいや、考えてないものにどうやって、結論が出せるんだ。だから、慌てなくていい。今から考えればいい」

だめだ。
課長に口論で勝とうと思っても、すぐに論破されてしまう。
「課長、私は、あなたの部下です。恋愛には、向きません」
「恋愛か。確かに部下と恋愛は、いろいろ面倒なことは多い。
だから、恋愛はしない。籍を入れてしまえば、誰も文句は言えまい」
「ちょっと待って。文句を言われたいんじゃなくて。いえ、そうではなくて……」
「何が問題なんだ?」
「問題だらけじゃないですか?」
「どこが、問題なのか言ってみろ。一つずつ話を聞いてやる」
「えっと……」
「ほら、みろ。問題なんかないじゃないか」
「とにかく、私は、課長とは付き合いません。結婚も前提なんて全く考えてません」

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