やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
頭の中に浮かんでくる雑念を、ひとりで抱えきれなくなった。私は、どうにかして、誰かとこの事を話したくなった。
課長の事を私より詳しく知っているのは、早紀先輩だ。
何度考えても先輩しかいない。
早紀先輩なら、日ごろの言動を見ると、私と課長のことに気が付いているかもしれない。
時々、鋭い質問をしてくることがある。
それに、先輩なら、私より町田課長のこと知っている。
聞けば必ず答えてくれるけど。
ひとつ問題がある。
先輩に答えてもらうには、自分のことを洗いざらいしゃべらなければいけない。
それは、きつい。というか、私には無理だ。ハードル高すぎる。
その日は午前中、別の部署で対応していて、席に戻るのが午後になってしまった。
私は自分の席に戻ってさっと周りを見回して、町田課長が席にいないのを確認した。
毎回なんで、町田課長がいるのかどうか気している。
自分でもどうかしていると思う。
毎日、嫌でも目にはいるほど近くにいるのだから、感謝すべきだけど。周りの手前、あからさまな態度は、チームの雰囲気を乱してしまう。その点からも、早紀先輩に意見を聞くべきだ。
私は、覚悟を決めて早紀先輩を誘った。
『い、一緒にしょ、食事でもいかがですか?』早紀先輩、気味悪がってたけど。
聞きたいことが増えているのだから、本当なら先輩を捕まえて、すぐにでも聞きたいこと聞けばいい。職場は、本当に面倒くさい。