やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
早紀先輩は、快く引き受けてくれた。

「用事済んだ?」
「はい」
「じゃあ、行こうか?」
早紀先輩と私は、ランチでよく来るお店に入った。
特徴のある料理が食べられるとか、気の利いたサービスが受けられるというわけではないんだけど。客が少ないからゆっくりできる。
今日は、早紀先輩と話がしたかった。早紀先輩何も聞かないまま「ここでいいんだっけ」と言って店のドアを開けた。

お店の中は、ガランとしていた。内装も白っぽい壁にグレーのタイルで、お店のありきたりな料理にあっている。客の少ない店内に大き目のテーブルに赤と白のテーブルクロスが目立っていた。
ここのよいところは、パスタだけは上手いということだ。私も早紀先輩もランチにパスタを注文して、煮詰まったコーヒーでお昼休みのギリギリまで店で過ごす。
「あんた、何にする?」早紀先輩が聞いたのもパスタの種類を聞いただけだ。他のものを注文するのは止した方がいい。間違っても、肉料理何か頼んではいけない。
「いつもので」
「ん、じゃあ、私もいつものにしようかな」早紀先輩は、自分の明太子と茸のスパゲッティと私のカルボナーラを注文した。いつもは、食後にコーヒーを注文するけど、今日はイタリアのワインをグラスで注文した。


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