やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

「私、課長のことでどうしたらいいのか分からなくて」早紀先輩に聞かれる前に答える。
「ん」
早紀先輩は、グラスを手に取ってワインに口をつけていた。話の仕方もストレートだけど。食べ方もお酒の飲み方も豪快だ。すでに、明太子のスパゲッティは、あと二口くらいしか残っていない。
先輩、そんなにたくさん一度に食べると、すぐになくなっちゃいますよ。私は、早紀先輩の残りのパスタを見つめていた。

「都にどうしたらいいのか分からないものを、私に聞いてどうするの」
「早紀先輩なら答えてくれるんじゃないかと思って」
「まさか」
先輩は、お代わりのワインを注文するために、手をあげた。
私は、顔をあげて先輩の顔を見つめた。何て答えたらいいのだろう。
私は、答えに詰まってしまった。

もう少し、酔った方が話しやすいのかなと思って、思い切って半分ほど飲み干した。

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