やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

早紀先輩、私の食事をしている様子を眺めながらニヤニヤ笑ってる。
「どうかしたんですか?」
「相談があるって聞いた時には、仕事のことで相談があるのかなって思ったけど。まさか課長のこと聞かれるとは思わなかったな」
「すみません」
「謝らなくてもいいって。それより、どうして私に相談したいって思ったの?」早紀先輩は、我慢して残していたパスタの残りを口に放り込んだ。
「それは、早紀先輩が課長と私のこと知ってるからです。それに課長のことで悩んでるからです」
「悩んでるの?どうして?
町田さんに任せておけば、彼がみんなやってくれるでしょう?」
「はい。そうなんですけど」
仕事の手順を確かめるみたいに、私は早紀先輩に一歩ずつ追い詰められていく。
「ですから、どうしていいのか分からないんです」
「ふ~ん。分からないなら、どうもしなければいいじゃない?」早紀先輩は豪快に笑う。
「へ?」
「だって動きようがないじゃない。それに相手は町田さんでしょう?都が何もしなくたって、町田さんの方が何とかするでしょう」
「えっと……」
「課長に任せておけば?大丈夫よ。状況が見えてないのは都だけだから。あんたと課長って、猛獣がウサギと戯れてるようなものよねえ。マッチ―に本気で狙われたら相手の女の子は、ひとたまりもないと思うな」
「どういう意味ですか?」
「んん……不思議だよねえ。すぐに仕留めるかと思ったのに。私もタッシーもそれは謎だって思ってるな。でも、今に分かるんじゃない。マッチーもぐずぐずしてるタイプじゃないから。私にきいたって無駄だよ。マッチーがどうやって女の子口説くかなんて知らないし、興味もないから」
「はあ」これって、相談っていうのか?
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