やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

「都、しっくりこないと思ったら、断ったら?遠慮することないのよ。たとえ直属の上司でもね。まあ、都には断るなんて無理だろうけど」
「無理って……」
「私に相談してるのは課長のこと断れないからじゃないの?すでに、課長のこと無視できなくなってるでしょう?」
「……はい」

「町田課長のこと、意識しだした?」
「そうかもしれません」
「ほら。胸に手を当てて聞いてごらん」
「先輩」気になってる。先輩の言う通りだ。
早紀先輩がにっこりと微笑む。
「頑張ってね。私たち、都は課長のものになるに一票だから」
「私たちって?」
「だから、水口さん以外全員課長にかけてるから」
かけてる?私たち、かけの対象なの?

「私、そんなにちょろいですか?」
課長にとって私は、目の前をうろつく小動物と同じなんだろうか?
「バカねえ。違うって。ちょろいのはそうだけど。町田さんがそうは思ってないってことでしょう?それだけ相手が本気だってことじゃないの?」
「そうでしょうか?」
「ん」先輩は、伝票を見て微笑んだ。
「大丈夫です。ここは、私が払います」
「いいよ。気にしないの」先輩はきっちり割り勘にした。

課長は、私のこと本気で考えてくれてるですか?
帰り道で一人で考えながら歩いた。
< 70 / 159 >

この作品をシェア

pagetop