やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

「ん、俺は君のことを理解するために、一緒に食事をしたり、会話を楽しんだりして、少しずつ親しくなっていこうと思う。仕事での関係を離れてもっと信頼できる関係を作りたい」
「はい」
「君とはもっと深いところで通じ合いたい。でもそれより先に、腹減ってるだろう?
食事を用意しようと思ってるんだけど」
「素敵。何かお手伝いすることはありますか?」
「いいや。何もないよ。用意できるまでここに居て」
町田課長はキッチンの方へ行ってしまった。
私も、彼を追いかけて行った。

すでに盛り付けてあったサラダとカップに入ったスープがカウンターに置かれている。
「どうしたんですか?これ」
「パスタ以外は、出来合いのものを並べただけだ。都、キッチンのテーブルにお皿を並べて」
「はい」一人暮らしだというのに。課長、大きな食器棚を使っている。
「もうちょっと待って。もう出来上がるから」
湯気がでて、フワッとしたいい匂いに包まれた。
「うそ。これ、カルボナーラですか?」
「よかった。ちゃんとそう見えるか?」
「ええ、美味しそう」
「課長って、本当に何でもできるんですね」
ほんの数分でゴージャスなディナーが出来上がった。
「どうぞ、召し上がれ」
課長が作った料理も、並べただけの料理もどれも素晴らしかった。
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