やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
もうだめ。課長のことが可愛く見える。

するするとすべり落ちて、彼の腕の中に落ちていくのが自分でもわかった。
課長のキスに答えるように重ねていく。
「これからずっと。好きな時に君にキスしたい」
「一度送ってくれたお礼にしては、ずいぶん図々しいお礼ですね」
「理由なんて、何でもいいんだ。こうして二人でいられれば」
「はい」

見つめあって、キスを続けているうちに、こうしている方が自然だと思えた。
もう、ただ体を寄せ合ってキスしているんじゃなくて。
お互いの姿が見えれば、引き寄せ合って抱き合いたくなる。
まだ、こんな感情が残っていたんだ。
ゆっくりと、彼の胸に手を寄せる。
この人に触れていると心地よい。安心していられる。

私は、この人が好きになったんだ。
こうして体を寄せ合ってる方が、自然だと思える人にようやく会えたのだ。
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