やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

「気のせいよ。
どうでもいいなんて思ってないもの」
特に、いくらでも私の代わりになりたいって言う女が後ろに待機している場合には。
「いまのままでも、結構気を使うのよ。住むところまで一緒にしたら、対処出来なくなるわ」
「理由はそれだけか?」
「そうよ。何にもないわよ」
慎重になるのも仕方ないじゃないの。
上司と部下なんて、始める以上にダメになるときのことを考えてしまう。
上司だから、やっぱり勘違いだったで済ませないんじゃないの。

全く彼のペースになってしまう。
彼のペースで進んで、振り回されて考える間もなく放り出されても文句は言えない。
彼は、この家で一緒に住むことをあきらめていない。
「どうしてそんなに強引に何でも決めようとするの?」
「どうしてって。そうするのが、一番いいからだ」もう、この男は。悪びれずに言う。
「傲慢だわ。話にならない」
「どっちにしろ、一緒に住むんだ。早いに越したことはない」
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