やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
私は、早紀先輩に救いを求めた。

早紀先輩は、職場ではとても頼りになる先輩だけど。
恋愛相談に乗るような先輩ではない。
弱ってる時に救いを求めるタイプの人間ではないのだ。
どちらかというと、傷に劇薬を塗ってでも直すタイプの人だ。助けを求めるには勇気がいる。それに。仕事以外のことで、仲良くしているわけでもない。
だけど、早紀先輩以外に事情をよく知る人がいない。
私は、早紀先輩をランチに誘った。

「週に何度も食事したいって、珍しいこともあるものね」
「そうですか?早紀先輩とは二度目ですよ」
早紀先輩は、いつもお握りを持ってくる。
だから、誘おうと思ったら、前もって伝えておかなければならない。誘わなんじゃなくて。誘えないのだ。

「まあ。何の相談か、だいたい想像がつくけど」
「どうしてわかるんですか?」私は、目をむいた。
「最近お互いに、煮え切らない態度取れば、誰だって気がつくわよ」
「私、そんなにわかりやすかったですか?」
「いいえ、わかりやすいのは、マッチーの方だね。心、ここにあらずって顔であんたのこと見てるし」私は、顔をあげて早紀先輩の顔を見た。
「課長が、私のこと見てるんですか?」
「そうよ。あんたにわかんないようにね」
「気がつかなかった」
「両方の行動見てると面白いよ」
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