やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~
わかってくれてるなら、話は早い。
「私は、ゆっくり段階を踏みたいのに。課長が先を急ぐんです」早紀先輩は、やっぱり予想できた話だと言わんばかりに、ため息をついた。
「そりゃそうよ。相手は、のんびりしてたら、40になっちゃうもん。すぐにでもはっきりさせたいのは、仕方がないよ」
「そうなんですか」そのことは、頭になかった。
「あんたたち、別に知らない仲じゃないし。ゆっくり時間かけなくてもいいんじゃない。課長のためにもね」

「決心がついてないだけかも知れないですけど。本当にこれでいいのかと思って」
先輩は、私に聞いてどうするのよと笑った。
「こればっかりは、自分で決めないとね。誰にも頼れないから」
「はい」
これは、流されてるというのだろうか。
完全に流されてる。このまま課長といると、すぐに一緒に住み始めて籍を入れるって言い出すだろう。なにもかも、私の考える時間もなく事が運ばれていく。
というか。
完全に課長の思うがままに、動かされてる気がする。
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