月之丞の蔵
「あの、月之丞さんは幽霊なので——」
月之丞さんは訝しそうな目で私を再び見つめる。
「だが……二百年?」
そうだよね。突然そんなことを言われても困るよね。
「納得できないなら、証拠を見せるね」
私はスマホをを動画モードにして、地下室を映し始めた。映像を見たら、嫌でも時代の変化に気づくだろう。スマホに向かって手を振る私を、月之丞さんは片眉をひそめて、横目で見ている。私はそんな彼にもスマホを向ける。幽霊だから映らないかも、と思ったが、液晶画面には、ばっちり映っていた。本物の心霊映像だ。
「できた。さ、この機械の画面を見てて」
私は動画の再生ボタンを押す。懐中電灯に照らされた地下室、手を振る私、そして月之丞さんの姿が順に現れる。
「な! なんだこの箱は! 雪が……俺がもう一人、いる?」
「この小さな機械はね、目で見たままのことを、記録することができるの。ちなみに、遠くの人と話をすることもできる。どう? 月之丞さん、これだけの機械を作るのに、数年でできると思う? できないよね。二百年かかったの。ね、信じてくれた?」
「……そなた、どこでそんな幻術を覚えた?」
ええー!?
そっちに解釈する!?
私は慌てて、他の機能を見せようと、「スノー」というアプリを起動して月之丞さんと私を写した。
「ほら、こんな機能もあるの。ほらほら、月之丞さんに、耳と鼻がついた! 似合うじゃん!」
「何をする!?」
月之丞さんは私を突き飛ばし、自分の顔を手で覆った。
「雪、おぬしはこんなことをして楽しいか? その幻術で俺の顔を……」
スノーは逆効果だったようだ。月之丞さん、もしかして動物嫌いなのかな?
それにしても……どうしたら信じてもらえるんだろう……
月之丞さんは厳しい目で私を見ている。
私はスマホを操作しながら、途方にくれた。
「それは、幼い頃のおぬしか……?」
「え?」
月之丞さんは訝しそうな目で私を再び見つめる。
「だが……二百年?」
そうだよね。突然そんなことを言われても困るよね。
「納得できないなら、証拠を見せるね」
私はスマホをを動画モードにして、地下室を映し始めた。映像を見たら、嫌でも時代の変化に気づくだろう。スマホに向かって手を振る私を、月之丞さんは片眉をひそめて、横目で見ている。私はそんな彼にもスマホを向ける。幽霊だから映らないかも、と思ったが、液晶画面には、ばっちり映っていた。本物の心霊映像だ。
「できた。さ、この機械の画面を見てて」
私は動画の再生ボタンを押す。懐中電灯に照らされた地下室、手を振る私、そして月之丞さんの姿が順に現れる。
「な! なんだこの箱は! 雪が……俺がもう一人、いる?」
「この小さな機械はね、目で見たままのことを、記録することができるの。ちなみに、遠くの人と話をすることもできる。どう? 月之丞さん、これだけの機械を作るのに、数年でできると思う? できないよね。二百年かかったの。ね、信じてくれた?」
「……そなた、どこでそんな幻術を覚えた?」
ええー!?
そっちに解釈する!?
私は慌てて、他の機能を見せようと、「スノー」というアプリを起動して月之丞さんと私を写した。
「ほら、こんな機能もあるの。ほらほら、月之丞さんに、耳と鼻がついた! 似合うじゃん!」
「何をする!?」
月之丞さんは私を突き飛ばし、自分の顔を手で覆った。
「雪、おぬしはこんなことをして楽しいか? その幻術で俺の顔を……」
スノーは逆効果だったようだ。月之丞さん、もしかして動物嫌いなのかな?
それにしても……どうしたら信じてもらえるんだろう……
月之丞さんは厳しい目で私を見ている。
私はスマホを操作しながら、途方にくれた。
「それは、幼い頃のおぬしか……?」
「え?」