恋する気持ち
恋する気持ち
「愛菜って、好きな人いるの?」

「え?」

トンッと消しゴムが床に落ちて、
カーテンと私の髪が静かに揺れた。

教室の時が止まったような不思議な感覚……

「愛菜?」

慌てて消しゴムを拾って笑いながら答える。

「いないよ」

……嘘、ついちゃった。
本当のことなんて言えるわけないでしょ?

「そうなんだ」

「静弥くんはいるの?」って聞きたいのに
すぐに話題が変わって、ドラマの話になった。

「あの女優さん、綺麗だよな」

「そうだね」

静弥くんは綺麗なお姉さんが好きなの?
もしそうなら、勝ち目ないじゃん。
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