10ヶ月経っても遠い君
「ん、いいよ。目開けて」
目を開けると、さっきと何ら変わらない景色。
秀くんは目の前に座ってる。
「なにしたの?」
「気づかなかったか?ここ。」
そう言いながら天井に頭をぶつけないようにしゃがんだ状態で私に近づいた秀くんは、私の胸元をトントンと人差し指で軽くたたいた。
「ここ…?」
言われるがまま、私は自分の胸元に目を向ける。
そこには、銀色のハートのネックレス。
「か、可愛い!」
「気に入ったか?」
「うん!」
私の返事を聞いて、秀くんは優しく微笑む。
「よかった。似合うと思ったんだ」
私の大好きな人が、私のために、選んでくれたプレゼント。
貰って嬉しくないはずはない。
「ありがとう…嬉しい」
「喜んでもらえてよかったよ。俺も嬉しい。」
満足そうに微笑む秀くんをずっと見つめていると、心臓が持ちそうになくて、思わず下を向く。
「あ、そうだ」
目に入った自分のカバンを見て忘れそうになっていたものを思い出す。
「これ…私からのプレゼント。似合うと思って…」
「マフラー?」
私から手渡されたものを受け取って、秀くんはそう尋ねる。
「そうだよ」
「じゃあ、由真が俺につけて」
「え?」
「ほら、お願い」
「わ、わかった」
秀くんの手にあるマフラーを取って、つけやすいように広げる。
秀くんの後ろに手をまわして、緊張による手の震えを抑えながら巻き終わると、秀くんと目が合った。
「ありがと、すげえ嬉しい」
「喜んでもらえてよかった」
秀くんの優しい笑顔につられて、思わず笑顔になる。