私達の初恋には秘密がある
「風波涼介です。えっと、、バスケ部やってました。でもゲームとかも好きです、、あっ、よろしくお願いします」
ちょっとグダった自己紹介を終え勢いよく頭を下げた。
周りは一斉に拍手で包まれる。
中からは仲良くしよー、とかよろしくね、などといった野次が飛ぶ。
頭をあげるとりょうちゃんはすぐにキョロキョロと辺りを見渡し始めた。
まさかー···
嫌な予感を感じた瞬間、彼と目が合ってしまった。
なぜ、もっと早く顔を伏せていなかったのか...なぜ...。
すると、彼はあっと大声を上げたかと思うと、私を見て満面の笑みに変わる。
「ことり! 同じクラスだったんだ」
人懐っこそうな爽やかな笑顔。
ご馳走様です。ーー···っじゃなくて!!
一斉に私の方にクラス中の目が向けられた。
まるで、獲物を見つけた野獣みたいに...私に向けられた視線は鋭かった。
中からは、え、どういうこと?って混乱を誘う言葉が聞こえる。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
いたたまれなくて半泣きで、気づいたら思わず席を立っていた。
ガタッという椅子の音が遠くから聞こえた気がした。
すると先生が動揺の声が聞こえる。
「えっと····香坂さんと風波くんは、知り合い? なのかな? 」
先生の笑顔が胸に刺さる。
クラスメイトの視線が痛い。それぞれ針でも持ってるんじゃないかってくらい。私に向かって刺してくる。
息が····苦しい。
気持ち、悪い。
「ち、違いますっ」
バッーーー
いつの間にか私は、教室を飛び出して廊下を走っていた。