私達の初恋には秘密がある
りょうちゃんのせいだ。

こんなことになるなんて。


明日からどうやって、学校に行こう。
どうやって、君と話そう。

あぁ、いっそいなくなりたい。

こんな辱めを受けるなんて。


階段を駆け上がりながら、さっきのクラスメイトの視線を思い出す。
(獣みたい... )


立ち入り禁止の札をくぐり抜けると、屋上へと続く扉はたやすく開いてしまう。


錆び付いた扉は少し軋んだ音がした。

と同時に、風が流れ込む。

「冷たい...」

前、私のクラスで流れていたような、凍るように冷たい空気とよく似ている。

あれから、私は前に進めているのだろうか。

いや、きっと、、何も変わっちゃいない。

何が悪かったかなんてわからない。

私が悪かったのか、私の周りが悪かったのか...。

でも結局標的になったのは私で。
きっと、全部自分が悪いんだ。


そう思った方が都合よかった。
だって、バカみたいじゃなか。
あの人たちを信じていたなんて、友達と思っていたなんて、今でもきっと何かの間違いなんじゃないかって...どこかで期待している自分が。

だから全部自分が悪いことにして、あの人たちを信じた自分を否定したくないんだ。


「ふ.....バカみたい」

自分でわかっておいて、気付かないふりをしてる。

誰に言うでもない言葉がおちて、風にさらわれて消えていった。


と同時に、遠くで扉の閉まる音がした。

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