旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
1.愛なんて、そのうち
仕事を終え、帰路につくはずだった私はその足で彼の自宅を訪れた。
「は……初めまして。津ヶ谷さんと結婚を前提にお付き合いをさせていただいています、桐島彩和です」
初めて訪れた家で、微笑む彼に見守られながら彼の家族に挨拶をする。
緊張でドキドキする胸、震える声。
それは幸せでいっぱいな未来を夢見てのもの
……ではなく、覚悟を決めて崖から飛び降りた気分からだ。
これもそれも、この隣で笑う彼のせい。
王子様、いや王様である彼のせいで私の人生が変わろうとしている。
なぜこんなことになったのかがわからず、私は笑顔の下、これまでのことを必死に思い出していた。
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