旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「本当は、悲しかった。理解してもらえなくても、否定しないでほしかった」
「……うん」
「誰にも分かってもらえないのが、寂しい。ありのままの自分じゃダメなんてわかってる……けど、ありのままを見てほしい」
これまで胸に抑えていた気持ちを吐露すると、涙も一斉に溢れた。
ぐしゃぐしゃな顔を隠そうと両手で必死に涙を拭う。すると津ヶ谷さんは、そんな私の手を掴んでそっと外す。
そして泣き顔と向き合うと、小さく笑って涙を拭った。
「寂しいよな。誰にも理解されないことも、理解されない自分が悪いって諦めることも。世界にこれだけのひとがいるのに、いつだってひとりぼっちに思えて、つらい」
彼が共感してくれる、その言葉ひとつひとつがじんわりと胸に染みる。
「わかる、なんて軽々しくは言わない。けど、ちゃんと伝わってるから」
「伝わって、る……?」
「あぁ。オタクで、すっぴんは質素で、実は大口開けて笑うことだってある。そんなありのままの彩和のよさを、俺は知ってる」
津ヶ谷さんはその言葉とともに優しい笑顔を見せると、右手でそっと私の頭を抱き寄せた。
『だから、寂しくないよ』
抱きしめる腕が、そう言ってくれている気がした。
彼のあたたかさに、また涙がこぼれる。
自分に、泣く資格はないと思っていた。
ありのままの自分が、悪いんだから。
だけど、今こうして泣いてしまうのはきっと、彼が受け入れてくれるから。
その温もりが、嬉しいから。
抱きしめる体温に甘えるように目を閉じて、そのまま深い眠りに落ちた。