旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
一晩が明けた翌朝、太陽の眩しさにそっと目を覚ますと、すぐ目の前には睫毛を伏せ眠る津ヶ谷さんの顔があった。
わっ、えっ!?
驚きのあまり声も出ず身を固くすると、彼の両腕が私を抱きしめていることに気がついた。
ずっと抱きしめてくれていたんだ。
そのまま津ヶ谷さんも眠ってしまったのだろう。
一晩中、同じベッドで……そう思うと恥ずかしくて、ドキドキしてしまう。
すると不意に津ヶ谷さんも目を覚ます。
「ん……」
「あ……目、覚めました?おはようございます」
「あぁ、おはよう……あれ」
眠そうに目を開けながらこちらを見ると、津ヶ谷さんは一瞬状況が読めなさそうに私を見た。
そしてしばらく考えたのちに、一晩中この体勢でいたことに気づいたのだろう。その頬をほのかに赤く染めた。
その反応に、つられてこちらも赤くなる。
「な、なんで照れてるんですか」
「うるさい。お前だって照れてるだろうが」
津ヶ谷さんはそう言いながら、私から腕を離すと体を起こしベッドから出る。
よっぽど予想外だったのだろう。
けど、津ヶ谷さんが照れるなんて意外。ちょっとかわいいかも……。
そんなことを思いながら、テーブルの上に置いてあったミラーをなにげなく覗き込む。
するとそこには、昨夜大泣きしたせいで目元は腫れ、さらにお酒のせいか顔は浮腫んでパンパンというひどい顔が映っていた。