旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



「あらあら、彩和さん!どうされたんですか!すごいクマ!」



まともに一睡も出来ずに迎えた翌朝。

今日はお弁当を作る気にもなれなくて、いつもより遅くに自室から出ると、既に台所にいた小西さんが顔を見て声をあげた。



「そんなにすごいですかね……」

「えぇ。目の下にくっきり出ちゃってますよ」



自分の目の下を指す小西さんに、そんなに目立つかなと居間にあった鏡で確認をする。

見ると確かに、目の下にはくっきりとクマができていた。



確かにひどい顔。メイクでどこまで誤魔化せるかな。

そんなことを考えていると、ふと、いつもはこの時間には居間にいる彼の姿が見えないことに気がついた。



「あれ、津ヶ谷さんは」

「ついさっき行かれましたよ。なんでも朝イチで用があるとかで」



乾さんとの待ち合わせかな。

仕事中にそんな話をする暇なんてないし、昼休みも仕事終わりも、外回りの多い津ヶ谷さんとは都合を合わせづらい。

そう思うとやはり朝が一番都合がいいのだと思う。



……私には、関係ないけど。

そんな諦めだけが胸に浮かぶ。





身支度を終え、私もいつもより少し早く家を出た。

気持ちもすっきりしないし、早くから仕事して気持ちを紛らわせよう。

この胸のつらさを誤魔化せるものがほしい。そんな思いから、会社へ向かう途中も早足になる。



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