旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
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窓の外では緑色の葉が風に揺れる、5月の第二水曜日。
壁に掛けられた時計が夕方17時を示す頃、デスク前の電話が勢いよく鳴った。
「お電話ありがとうございます。キャニオンペリー第二服飾事業部、桐島でございます」
受話器を取り発する声は、普段の声よりワントーン高く、それでいて落ち着いたものだ。
胸元まである茶色い髪を耳にかけ、相槌をうちながら話を聞くと、それは取引先からの電話だった。
「申し訳ございません。只今担当の者が席を外しておりまして、よろしければ私のほうでご対応させていただきます」
そして要件をうかがい、会話を終えるとゆっくり電話を切った。
【株式会社 キャニオンペリー】。
うちの会社は、大手アパレルメーカーを親会社に持ち、東京・日本橋に本社を構える服飾雑貨メーカーだ。
インテリア雑貨を扱うインテリア事業部と、軽衣料などのウェア関係を扱う第一服飾事業部。
そして靴やバッグなど小物関係を扱う、ここ第二服飾事業部から成るこの会社は、社員は総勢100名ほど。
直営店舗も持っているが、主に自社製品を取引先である各店舗に商品を卸している。
私、桐島彩和はそこで営業として働く、26歳だ。
元々は経理部だったけれど、一年ほど前に営業部へ異動となった。
慣れない仕事は覚えるまでが大変だったけれど、今では数社の取引先を持ち成績も上々。それなりに上手くやれていると思う。