旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「おはよう、彩和」
そこに現れたのは、柔らかな笑顔のキラキラとした王子様……。
「いつまで寝てるんだよ、さっさと起きろ」
「ふがっ」
ではなく、不快そうに眉をひそめて私の鼻をつまむ津ヶ谷さんだった。
寝起きに突然鼻を強くつままれて、寝ぼけていた目もさすがに覚める。
ぼさぼさな頭のままガバッと体を起こし、枕元にあったメガネをかけた。
視界はクリアになるけれど、相変わらずここは慣れない景色だし、目の前にいるのは津ヶ谷さんだ。
「な、なんで津ヶ谷さんが……」
「そりゃあ俺の家にお前が引っ越してきたからな」
呆れた目を向ける津ヶ谷さんに、そういえばと思い出す。
やっぱり夢じゃなかったんだ。
津ヶ谷さんが王子じゃなく王様なことも
本当の私を知られてしまったことも
それをネタに結婚させられてしまったことも……!!
夢であってほしかった、そう今もまだ願いながら寝癖だらけの頭を抱える。
そんな私に、部屋を見回していた津ヶ谷さんは「……おい」と嫌そうな声を出した。
「気になってはいたが、なんだそれ!その悪趣味なグッズは!!」
彼が指差す先にあるのは、白いチェストの上に飾られた涼宮くんのグッズたち。
ポスターやぬいぐるみ、缶バッチ、それとキラキラとした飾りがついたうちわなど、全て私のコレクションだ。