旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
熱いお味噌汁をそっとひと口飲むと、飲み慣れたインスタントとは違う、出汁の効いた手作りの味がした。
朝から作ったお味噌汁と炊きたてのごはん、ほくほくの焼き鮭……贅沢だ。
つられるな、と言い聞かせたばかりだけれど、美味しさについつい頬が緩む。
そんな私を見て笑いながら、小西さんはテーブルの横で、急須でお茶を注いだ。
「ですがびっくりですねぇ。お付き合いのご報告にいらっしゃったと思ったら、翌日には入籍だなんて!」
「そ、そうですね……」
いや、一番びっくりしてるのは私なんですけどね。
そう言いたいのをお味噌汁と一緒に飲み込む。
「彼女とは以前から結婚を前提にお付き合いしていたからね。一緒に住むにあたって、きちをんとした夫婦になりたいと思ったんだ」
隣でごはんを食べながら、もっともらしいことを言う彼に余計なことは言わずに頷いて流した。
「ですが、よろしかったんですか?お部屋別々で。新婚さんなんですし、一緒におやすみされたいんじゃ……」
「夫婦といえどプライバシーはあるからね。お互いに見せられない顔のひとつくらいはあるだろうし。ね、彩和」
小西さんからの問いに答えながらにこりとこちらへ向けたその微笑みから、『例えば、お前がアニメオタクだってこととかな?』というひと言が聞こえてくる。