旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
3.反則
いつの間にか、全て完璧じゃなくちゃいけないと脅迫観念のようなものにかられていた。
だけど、たまには少しくらい頼ってもいいんだって。
素直じゃない言葉でそう教えてくれたのは、王子じゃない、王様の彼だった。
アラームの音に目を覚ますと、今日も室内は、透けた障子から入り込む太陽の明かりに照らされていた。
「ふぁ……朝か」
大きなあくびをこぼし、ぼやけた視界にメガネをかけて、1階の奥にある洗面所へと向かう。
冷たい水でバシャバシャと顔を洗うと、ようやくすっきりと目が覚めた。
部屋に戻って、奥二重気味の目にコンタクトを入れて、まつ毛を上げてパッチリとした二重に仕上げる。
メイクで華やかさを出して、のりの効いた服を着て、髪も巻いて……短時間でササッと外用の姿に変身すると、今日も廊下に漂う朝食のいい香りに誘われるように、居間へと向かった。
相変わらず広い家だなぁ……。
家の広さに対してひと気のなさを感じながら、長い廊下を歩く。
この家に来て、もう一週間が経つ。
閑静な住宅街の一角にあることもあって、静かなこの家は、地方にある実家を思い出させるのか案外落ち着く。
小西さんがなにかと気を使って家事もしてくれるし、住みやすさはあるんだよね。